紙屋研究所「ちょんまげ天国」
自身のブログ「紙屋研究所」で膨大な書評を書き連ねてきた紙屋高雪氏だが、音楽に対する評論は極端に少ない。その中でもいまだに変わらぬ異彩を放つのが、2005年に発表したCD「ちょんまげ天国」のレビューである。
この「ちょんまげ天国」とは歴代のテレビ時代劇で流れた主題歌を網羅した作品集だが、紙屋氏の曲のチョイスが憎い。そう思わせたのは「新五捕物帳」のオープニング「江戸の黒豹」、「江戸を斬る」のエンディング「ねがい」である。
この「ちょんまげ天国」とは歴代のテレビ時代劇で流れた主題歌を網羅した作品集だが、紙屋氏の曲のチョイスが憎い。そう思わせたのは「新五捕物帳」のオープニング「江戸の黒豹」、「江戸を斬る」のエンディング「ねがい」である。
(いずれもyoutubeから)
私個人の思い出で言うと「新五捕物帳」はリアルタイムでは見たことなかったが、中学の級友で時代劇好きなヤツがいてそいつに繰り返し「江戸の黒豹」をラジカセで聞かされたことがあってねw 当時はうんざりしたものだが、こうして「新五捕物帳」のオープニング映像込みで聴いてみると、杉良太郎の流し目のカッコよさとあいまって名曲やなあとしみじみ来ます。
そして西郷輝彦歌唱の「ねがい」。これは私も少年時代から再放送で「江戸を斬る」を見てきて好きな1曲である。
紙屋氏は西郷の演じる金さん(遠山金四郎)がスマートすぎて好きになれなかったという趣旨の文章を率直に書いているが、それを踏まえて「ねがい」を推しているところに、この曲の魅力の抗いがたさが形容されていると思うのだが、どうだろう。西郷の甘い歌声と「♪たとえ今日の~」と畳みかけるようなサビの相性は抜群で、個人的にはこの「ねがい」こそ時代劇主題歌ナンバー1に推すものである。
紙屋氏の「ちょんまげ天国」レビュー発表から14年。地上波から時代劇のレギュラー放送はとっくに死に絶えてしまい、少年隊のヒガシ(東山紀之)主演の「必殺仕事人」「大岡越前」などジャニーズ人脈での単発特番でどうにか時代劇は瀕死ながら命脈を保っている状況である。
しかし「歴史は繰り返す」ともいう。勧善懲悪、悪いやつらは眠らせない時代劇のだいご味は現代を生きる人々の心に必ず響くと思う。スポンサーなど「先立つもの」の問題はあろうが、長らく時代劇の制作に携わった皆さんには一念発起してもらい、「江戸の黒豹」や「ねがい」のようにしびれる主題歌を聴かせてほしいと切に思う。
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