真の「NHKから国民を守る党」は日本共産党ー本村衆院議員の質問から

 「NHKから国民を守る党」(N国党)が統一地方選後半戦でかなり議席を取ったことはニュースにもなっていた。しかしこの政党って、NHKが真の公共放送足りえるためにきちんとした政策を訴えてんのかね。実のところ、ほとんど聞いた試しがない。
 こんな新興政党よりも、私はNHKの改革のために具体的な提案を国会の場で行っている政党を知っている。その名は、日本共産党だ。

 共産党の機関紙「しんぶん赤旗」4月24日付のテレビ・ラジオ欄。14面の下部のスペースをまるまる使い、本村伸子衆院議員が3月19日に総務委員会で行った質問を紹介している。その前文はこんな感じ。

「NHKの受信料にまつわる質問や苦情が、本紙読者から数多く寄せられます。『NHK受信料に減免措置がないのか』『最高裁判決を盾に強引に支払いを迫られた』…」「視聴者からの要望をNHK執行部にぶつけました」

 記事本文の冒頭で「NHK受信料の減免制度は、生活保護など公的扶助受給者などが全額免除、視覚・聴覚障害者などが半額免除となっています」と紹介。全ての社会福祉施設で入所者が使用するテレビの受信料を免除(18年4月から)などの追加策があると伝えつつ、消費税増税についても「10月に消費税が引き上げられた場合、受信料に消費税分を上乗せせずに据え置く」というNHKの姿勢を説明しています。
 それを踏まえて、記事は本村議員の質問の趣旨をこう書いています。

「本村議員は、入院で家を留守にする間の受信料免除をはじめ、全ての学生の免除、低所得者の免除対象の拡大など、『さらなる負担軽減策の拡充を検討すべき』だと要求。今年2月から始まった奨学金受給学生への免除の対象は19万件なのに、申請が8万件にとどまっている実態を明らかにしました」

 ほほう、せっかく奨学金受給学生への免除という新制度が始まったのに、申請は対象の4割程度と。NHKの上田良一会長は対象学生への周知強化とともに「開始後1年はさかのぼって適用する」と答弁したといいます。

 本村氏の質問は受信料の強引な徴収の問題へ。ここで「最高裁判決」という文言が出てきます。確か受信料の徴収の仕方が少々強引でも、違法とは言えませんてな判決じゃなかったっけ。
 実は本村氏は、昨年3月にもNHKの受信料徴収問題で質問。「最高裁判決を振りかざして生存権を脅かすような無理な徴収は絶対にやってはならない」と追及し、上田会長もそこでは「最高裁判決に言及することがないよう文書を発出する」と答弁しました。

 しかし本村氏は今回、委託法人の契約社員が押しかけ「最高裁判決が出ている」「(ワンセグ携帯があるか)携帯を見せてほしい」と強引に迫られた視聴者の実例を紹介しました。おいおい、最高裁判決を振りかざしておる不届き者がおるやないけ。本村氏は無理な取り次ぎや徴収をやめるように訴えたといいます。

 ここで本村氏は「法人委託以前から視聴者と向き合ってきた地域スタッフの方々」の役割を強調しました。なんでも訪問に対する視聴者のクレームが増えたのは、業務の民間法人への委託が始まってからとのこと。本村氏はNHKに対し、地域スタッフを「欠かせない存在」と位置づけ、労働安全衛生や休業補償などの待遇改善をこの場で要望したとのことです。いわゆる反対だけでなく対案を、ってやつでさあね。
 この本村氏の問いに、上田会長は法人委託社員への教育の徹底とともに、地域スタッフを「重要なパートナー」との認識で適切な処遇を約束したといいます。

 どうです。本村氏、きめ細かい質問をしていますね。よくNHKの受信料徴収のスタッフへの不満や批判は聞かれますが、実態としては民間委託が始まってからそのクレームが増えたと本村質問では分析していて、テレビを見ていない生活を送っているのに受信料を契約社員にしっかり取られた私は感心しましたw

 N国党てのは、こうした市民のNHKへの不満の受け皿として一定の票や議席を得ているのは想像に難くないところです。その戦略自体を否定はしませんが、党名に「NHKから国民を守る」と掲げている以上は、さぞ共産党以上に有効な政策や提案を訴えていらっしゃるんでしょうねえ…。もしないのでしたら、貴党の存在意義は見当たらないってことで、今後は日本共産党にお任せください。

 しかしこの本村質問、3月19日にあったのよな。掲載はその1カ月後だぜ。
 記事をもっと早く、統一地方選前に「しんぶん赤旗」に掲載してSNSで拡散すれば、日本共産党はN国党の票を削って、後退した議席数をいくらか増やせたのでは…。ううむ。

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